ひとつの輝き
「あー美央、入ってきなさい」
中から聞こえた声に、あたしは目を瞑り、軽く息を吐く。
ドアを開けて見る先の母は、いつもと変わらなかった。
あたしが“何?”と言う先に母は白い封筒を差し出した。
「これ帰って読みなさい」
「えっ?」
あたしは母に目を向けた。
「ちゃんと読むのよ」
そう言って、あたしの手に封筒を握らせ、母は椅子に座り仕事を始めた。
「お母さん、用って?」
母は、あたしに目を合わせる事なく口を開いた。
「美央の手に持っているものが用件よ」
あたしは、ゆっくり目線を下げ、手に持っている封筒を、表と裏、交互にチラチラと見た。