ひとつの輝き
「女とは言ったけど、“俺の女”とは言ってねーだろ!しかもあれ、姉ちゃんだし」
はぁ?
「何それ」
「だって姉ちゃん、女じゃん」
確かにお姉さんは女だけど…
あっそっか…
あの時、里香さん…
“それとね、あの時の人…”
そこまで言って、話さなかったのは、きっとこの事だったんだ。
里香さんも言ってくれれば良かったのに…
あたしは思わず気が抜けてベッドに顔を沈めた。
「別れたくないよ…渉」
小さな声が部屋に響いた。
さっきまで止まっていた涙が、また溢れだすかのように目から涙が流れてきた。
「俺も別れねーよ」
そう言って渉は、あたしの頭を軽く撫でてくれた。