ひとつの輝き
「俺、わかる?」
「えっ?」
「ほら渡り廊下で…」
あっ止めてくれた先輩かな?
怖いインパクトが強すぎて覚えていないし。
だけども「はい…覚えてます」と、あたしは言った。
全然、覚えてないけど…。
「あのさ玄関で待ってたんだけど、渉が遅い!って言うから見に来たの」
女の先輩は明るく声を掛けてきた。
遅いって言われても今、終わったばかりなんですが…
「あー…そうなんですか」
本当の事は言わず、あたしは苦笑いをする。
「つーか終わった?」
男の先輩に軽く頷く。
「だったら行こ、渉まってるし」
待ってるし…と言われても、どーしたらいいんだろう。
着いて行く?
行かない?
そう思っていても足は勝手に前へ進みだす。