ひとつの輝き

渡り廊下の手前のドア付近から、また話が聞こえてきた。 

「青山さんが多分、新庄先輩を襲ってんでしょ?」

「いやだなーあたしの彼氏、襲われないかな…」

って…襲うわけないじゃん! 

あたしに聞こえない所で話すか堂々と目の前で言うか、どちらかにしてほしい… 

コソコソが一番嫌! 


そんな声が聞こえる中、渡り廊下のドアが勢いよく開いた。 


「ありもしねー噂、飛ばしてんじゃねーよ」 


女の怒り声が飛びかってすぐ、あたしはドアに目を向けた。 


…里佳さん。 


女子生徒は体をビクッとさせながら、その場を去った。 


「美央ちゃーん」 

里佳さんが笑顔で手を振るまうにもかかわらず、あたしの目の前は真っ黒だ。 



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