ひとつの輝き

「どーも」 

あたしは先輩が座る前のソファーに深く腰を下ろす。 

先輩は辺りを見回し短く声を漏らした。 

「なぁ…」 


あたしは先輩を見て首を傾げた。 

だけど… 


何となく言われる言葉は分かるような気がした。 


「親いねーの?」


予想は的中したと思うと、あたしは苦笑いをして頷いた。 

「何で?っつーか、このでけーマンションの最上階で何となくわかっけど…」

「親はここには来ないよ。ここに住み初めてから会ってないし、仕事、仕事で忙しいんだって」 

「社長?」

頷くあたしを見た先輩は、それ以上、深く聞いてこず「だから、よくコンビニ行ってたんだ」と話を反らしてくれた。 




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