ひとつの輝き

「あたし行かないから」

そう言った瞬間、母は一気に表情を崩した。 

目付きが怖い母が表情を崩すと、それ以上に顔つきが怖くなる。 


「美央も15歳なんだから、このお付き合いが、どれほど大切かわかるわよね?お父さんが昔からお付き合いしている大事な人なの」


そんなの知らないよ…

ってか15じゃないし。 

あたし今月の初めに16歳になったんだよ。 

子供の年ぐらい覚えてよ。

「だから、あたし行かないって言ってるじゃん」

「美央!いい加減にしなさい。いつまでも子供みたいな事、言ってるんじゃないの」 

母はテーブルを叩きつけて立ち上がった。 

つーか、こっちがいい加減にしてほしいよ。 




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