ひとつの輝き
あたしはお母さんが思っているほど大人じゃない。
だからといって、泣いて、泣いて甘えるような子供でもない。
今のあたしは、どっちでもないよ…
泣きたいと思っても涙すらでないよ。
「あたし今まで何でも聞いてきたよ…だけど、もう疲れた」
母の眉が寄り目がスッと細まった。
「美央。お父さんに恥をさらす気?何か欲しいものがあったら買ってあげるから」
またそれ…
何でも金でつろうとする母。
あたしが学校で言われてた事も知らないくせに…。
眉を寄せて睨む母を見て、あたしはドアに向かって歩きだした。
「美央!来なさいよ」
そう母が叫ぶ声を無視して、あたしはビルを出た。