ひとつの輝き
5
寝付けないまま何度も寝返りをし、気づけば真っ黒だった部屋が明かりに照らされていた。
多分あたしは、何も寝てなかったと思う。
重い体を動かして学校にたどり着いた時は、もう4時間目だった。
昼休み机に顔を伏せる、あたしの肩に誰かが手をおいた。
「ねぇ、青山さん」
あたしはパッと顔をあげる。
「何?」
クラスの女の子が「呼んでるよ」とドアの入り口に指差した。
その先を見ると渉がドアに寄りかかっている。
目があった瞬間、渉の口は動いた。
「こっち来いよ」
あたしは立ち上がり「何?」と近づいた。
「お前、何で電源切ってんの?」
「えっ?」
「携帯の電源、入ってねーよ」
「あぁ…ごめん」
渉は、あたしを見てため息をつく。