ひとつの輝き

学校を出て行く所もないのに、さまよっていた。 


気付けば、学校から凄く離れた所まで歩いていた。


あのまま逃げてきたから鞄すら持っていない。 

あるのはスカートの左ポケットに入っている電源の切れた携帯だけ。 

もう何もかも疲れた。 





学校に行くこともできず、気付けば土曜になっていた。 

あの日から何をしたと言う記憶すらなくて、ただひたすらベッドの上で過ごした。 

朝10時… 

チャイムが鳴り響き、あたしはモニターを確認した。 

「…はい」 

「青山さーん。速達です」 

「あっ今あけます」


あたしは1階のオートロックを解除した。 

20階まで来るのには少し時間がかかる…

しばらくするとチャイムの音とドアを挟んで「青山さーん」と声が聞こえた。



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