ひとつの輝き
「だったら行かないから」
そう言えば母の答えは分かっている。
父親の為だから…
「分かったわ。言いなさい」
「学校、辞めたいの」
「えっ?今、美央、何て言ったの?」
「だから学校、辞めたいの」
通話口から勢いよく吐いた母のため息がよく聞こえた。
「自分の言ってる事、分かってんの?マンションも買ったのに」
そんな事、頼んだ覚えないし…
「お願い…」
少しの沈黙の後、また母のため息が聞こえた。
「分かったわ。じゃあ明日必ず来なさい!今夜ドレスを、そっちに届くようにするから」
そう言って母は電話を切った。
もう恐ければ…
嫌であれば…
自分勝手な方向に進んでしまう自分に呆れてしまう…。
もう何処までが本当の自分で、何処までが本当の自分じゃない事すら見分ける事もできなくて…
勝手な方向に進む自分に抑制(ヨクセイ)する事はできない。