ひとつの輝き
「所詮、俺達の親はこんなもん…同じクラスなのに知らねーよ」
隼人は、あたしに呟くように言った。
隼人のお母さんは、スッと手を上にあげ、あたし達の後ろに目線を向けた。
「あら美央、何してたの?」
背後から聞こえた声ですぐに分かった。
お母さんだ。
あたし達が振り返ると母は目の前まで来ていた。
「藤堂隼人です」
隼人は礼儀正しく頭を下げた。
「あら。隼人くん久しぶりね」
そんな事、言ったって隼人は知らないだろう。
チラッと見ると隼人は曖昧な笑いをしていた。
あたしの頭の中で、さっきまで隼人と話していた会話が蘇ってきた。
もう…今しかチャンスはない。