ひとつの輝き
「俺も嫌。もぅ来ねーよ」
目の前の隼人のお父さんは「おいっ」と声をあげた。
「隼人!お前は跡継ぎだぞ」
怒りのように叫ぶ父を見て隼人は眉を寄せた。
「俺は跡継がねーよ」
それを聞いたあたしは体が少し震え、いつの間にかドアを開けて走っていた。
「待ちなさい美央」
「おいっ美央」
父と母の叫び声の後、隼人も駆け寄ってきた。
「「隼人」」
隼人の両親の声を最後に耳に入れ、あたし達は走った。
ホテルから出てすぐ、あたしは足を止め、膝に手を付き乱れた呼吸を落ち着かせた。