ひとつの輝き
「笑ったつもり?」
「えっ?」
真剣な顔をする隼人をジッと見る。
「笑顔ってさ、何もかも全て受け入れた強い綺麗な笑顔と、苦しんで辛くって無理して笑う笑顔があんだよな…俺の言ってる意味わかる?」
「意味って?」
「お前の笑顔は苦しんでるほう…」
そう言って歩きだす隼人に「そんな事ないよ」と駆け寄った。
「じゃあ今の自分の顔わかった?分かるわけねーよな…自分がどんな顔してるのかは鏡がねーとわかんねーもん。だから今は俺がお前の鏡として伝えてやった。すぐ見れば分かるよ苦しいほうって」
確かに…
そうかもしれない。
いくら最高の笑顔を出し切ったって、結局は心が痛んでいると綺麗な笑顔なんて出せない。
もう、どうやって笑顔を出すのかも忘れたよ。