二人だけの甘い聖夜を
一体いつの間に今日のことを計画してたの?
そう思えるほど、優斗のデートプランは私を驚かせた。
待ち合わせ場所から横浜の街並みを楽しみながら、付き合っていた頃に一緒に行った赤レンガ倉庫のイルミネーションを見に行き、それからランドマークタワーに向かった。
ディナーは、ランドマークタワーのスカイラウンジで、クリスマス限定のコース料理をいただいた。
横浜の街並みを見下ろす絶景を前に、家では食べられないオシャレな料理の数々。
スパークリングワインで乾杯なんかしちゃって、日常では有り得ない贅沢な時間を過ごした。
普段は子どもたちを食べさせながら、自分の食事は二の次になってしまうことも多いけど、今日は目の前に運ばれてくる料理をじっくりと堪能。
ゆったりと流れる時間の中で、こんな風に優雅な気分を味わったのは、子どもが生まれてからは初めてのことだった。
食事が済んでからチェックインしたのは、同じランドマークタワーにあるホテル。
「ここって……」
部屋に入って、真っ先に天井まで続く大きなガラス窓に直行する。
さっきスカイラウンジからも見ていた、眼下に広がる海とコスモワールドの観覧車。
まだ結婚する前、最高の景色を見下ろすこのホテルに二人で宿泊したことがあった。
じわじわとあの時の感動が蘇ってくる。
「もしかして、ここってあの時と同じ部屋だったりしない?」
「よく覚えてたじゃん」
「やっぱり! すごい、どうして?」
「予約する時に交渉してみた。あの時と同じ階の、同じ部屋が空いてたらって思って。ちょっと無理言った感じになったけど」
もう随分も前のことなのに、ちゃんと覚えていてくれたことが嬉しかった。
それに、こんな粋な計らい。感動しかない。
「飲み直すだろ?」
幻想的な夜景に目を奪われていると、ピカピカに磨かれたガラス越しに優斗がワインボトルを見せているのが映る。
「うん、飲む飲む」
いつもとは違う二人だけの落ち着いた空間で、再びグラスの重なるいい音が鳴り響いた。