二人だけの甘い聖夜を
「子どもたち、どうしてるかな?」
ボトルのワインが半分くらい空いた頃、ふと、子どもたちがどうしているか気になった。
時計を見ると時刻は二十二時をまわっている。
「もう寝てる時間だろ。朝から騒いでたし」
「そうだよね。お義母さん、二人にクリスマスプレゼントまで用意してくれたみたい。今晩寝たら枕元に置くって言ってたよ」
「じゃあ、尚更早く寝たんじゃない?」
「そうかもね」
外で働くのと違って、育児は毎日毎日二十四時間体制で休みがない。
子どもたちには待ったがなくて、疲れて休みたくても許されないし、自分が体調でも崩せば地獄。
お母さんに代わりはいないから、いつでも気を張って過ごしている。
そんな毎日の中で、たまに一人になりたいと思う時だってある。
息抜きしたいなって、思う日もある。
だけど、離れてみると子どもたちのことばかり気になる自分がいる。
やっぱり私はお母さんなんだな、と思うと、自然と笑みがこぼれた。
「パパ、今日はありがとう」
「何、急に改まって」
「嬉しかったから。色々考えて、こういう時間作ってくれたことがさ。毎日、仕事行って大変なのに」
「それ言うなら、俺の方こそいつもありがとう」
「……?」
「家のことも子どもたちのことも、いつも任せちゃって、大変な思いもさせてると思うから」
優斗……。
「いつも、ありがとう。感謝してる」
改まって感謝の気持ちを伝えてもらうことなんて今までなかった。
私の方だってもちろん同じ。
毎日に追われて、思っていてもなかなか口に出して言うタイミングが見つけられなかった。
当たり前の生活を送れていること。
それは、優斗が家族のために頑張ってくれているからこそ存在する。
優斗も私と同じ気持ちでいてくれたとわかると、それだけで胸がいっぱいになる思いだった。