そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
九条慎吾がマイカーを止めたという地下2階。

ビルで働いている社員専用のこの階は、まあ見事に高級車ばかり。

さすが年収1000万2000万超えがゴロゴロいるといわれているだけある。

ここの駐車場の車全部売ったら、総額いくらするのかなんて、考えるだけでも、顔がにやけちゃう。


「......どうぞ?」 


高級車の中のひとつ、もちろん高級車である黒い車の助手席を開けられ、いつものゆるふわスマイルを作る。 

こんな高級車にごく当たり前のように手をかけるなんて、全くセレブっていうやつは、これだから......

もうっ!最高ね!


「ありがとうございます~。
これが慎吾さんの車ですか?
私、車のことはよく分からないんですけど、素敵な車ですね~。失礼しますぅ」


高級車、失礼しま~す!


中は片付いていて、飾りなどは何も置かれていなかった。そして、さすが高級車なだけあって、座り心地もいい。

跳び跳ねたい気持ちを抑えながら、さっとシートベルトをつける。
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