そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
「三回目が合えば好きになりそうになるし、三回デートすれば結婚を考えてしまう」


御曹司の高級車に乗り、御曹司の運転で、御曹司が何回かきたことあるという、セレブなイタリアンレストランで、なんだかセレブっぽいものを食べながら、苦笑いを浮かべる御曹司。

婚約までしていたという元婚約者の話を聞き出すことに成功し、恋愛トークにまでこぎつけたけど、噂通りのお人好しっぷり。

お人好しというか、間抜けというか......。


「純粋なんですね。
じゃあ私もあと二回デートしたら、結婚を考えてもらえるのかな。ふふ」

「え?いや、そんな、はは......」


ちょっと揺さぶりをかけただけで、面白いくらいの慌てっぷり。

さっきまで見ていてこっちが恐縮してしまうくらい品よく食べていたのに、急に音を立て始めた。

このくらいで動揺してどうするよ。

あまりにも純粋な九条慎吾が少し可哀想になりつつも、攻撃の手を休めようとはこれっぽっちも思わなかった。
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