そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
「慎吾さんと別れるなんて、相手に見る目がないんだと思いますよ。こんなに優しくてかっこいいのに」


よそゆきの笑顔を浮かべながら、テーブルの下の九条慎吾の足に、わざと自分の足をぶつける。


「あ、ごめんなさい」

「いえ......」

「私だったら、そんなことしないのに」


だめ押しとばかりに、上目遣いで見つめると、残念御曹司はついに固まってしまった。
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