そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!

・セレブ一家にご対面

「婚約パーティー?」


そろそろコートもいらなくなるくらいに暖かくなり始めた三月最後の木曜。

落ち着いた料亭の個室で、一通り注文も終えると。

今度の週末に兄の婚約パーティーがあるから一緒にいかないか、と慎吾は切り出した。


「うん、二番目の兄が今度結婚するらしいんだ」

「わぁ、そうなんだ、おめでとう!
それって、私がいってもいいの?」

「うん、家族だけじゃなくて、友達もくるし、パートナーがいたらぜひご一緒にって言われてるから。
もちろん真由が嫌だったら、断ってくれても大丈夫だよ」


行くわよ!
当然行くに決まってる。


残念御曹司九条慎吾と付き合い始めて、そろそろ二ヶ月。

お互いの部屋へも何度か行き来したし、慎吾との仲も極めて良好。

全てが順調に行っているけど、ここで焦ってボロを出したら、全てが無駄になる。

まだ付き合いたてということもあるし、次の段階に進めるのには極めて慎重になっていたけれど、ここにきてビッグチャンス到来。


「そんな、嫌だなんて。
慎吾のお父様やお母様、お兄さんたちにもぜひお会いしたいし、行ってもいい?」


いつものようにゆるふわ系を演じてみせると、慎吾も良かったと笑顔を見せる。

当たり前でしょ?

家族への紹介なんて、結婚へ進展するビッグチャンスを逃すわけがない。

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