そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
頼りなさそうで、気が弱そうだけど、草食系というわけでもないし、しっかりしてる部分もある。

それに、......意外と男らしいところもあった。

そのギャップに少しだけドキッとした。

ほんの少しだけ。  


「.......好きだよ、真由」


慎吾は何か言おうと考えていたみたいだったけど、結局たった一言だけ言ってから、ゆるめていたネクタイを外す。

それから、私をベッドにしずめた。


「......私も」


多くは言わなくても、たった一言だけで不思議と満たされた気分になる。

今までの彼氏は何を考えてるか分からない!としょっちゅうイライラさせられたものだけど、慎吾相手だとそんなことも全くない。


もちろん、慎吾の一番好きなところは財力。

だけど、その次に、慎吾の照れ屋で飾り気のないところは、まあまあ気に入っている。


慎吾に応えるように、彼の背中に手を回した。
< 36 / 80 >

この作品をシェア

pagetop