そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
「そのままの私じゃダメだから、キャラ作ってるの。
27歳のここまでノープロポーズよ?
私の本性を知れば、男はみんな離れていく。
大輔だって、そうだったでしょ」

「......別れようって言ってきたの、真由じゃなかった?」

「そうだった?」


急に静かになった大輔に、当時のことを思い返してみる。


たしかに、別れようと言い出したのは、私の方だったかもしれない。

でも、お互い様だったはずだ。

同棲してた時期は、大輔も仕事がちょうど忙しくなり始めた頃で、私も仕事をしていたし、お互い余裕がなくて、どうでもいいことでけんかが多くなって、そして、上手くいかなくなった。


「疲れない?彼氏の前でもいつも猫かぶってて。
結婚してからも続けるつもりなの?
俺だったら、想像しただけでゾッとする」


......。 


時々素が出そうになって焦るし、疲れるといえば疲れる。 
だけど、私は慎吾を手離したくない。


御曹司でお金がたくさんあって、それに、......。

優しくて、意外と男気もあって、......。


お金のためももちろんあるけど、それだけじゃないのかもしれない。
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