そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
「それはどうも」


これでも、二十代前半のもっと若い頃は、好きになった人と結婚したい、なんて、まともなことも考えていた。

考えていた、けど、もう懲りた。


仕事もできて将来有望の大輔は、私の元カレのなかでは、割りとまともな方だけど、その他の男はろくな男がいなかった。


高校生のとき、初めて付き合った彼氏は、超がつくほどのドケチ。一円単位まできっちりワリカンする男だった。

大学生の時の彼氏は、アル中で酒乱なあげく、飲酒運転で捕まった。

その次の彼氏は、売れないバンドマンでほとんど無収入なうえに、浮気男。


その他、男でした失敗は、数知れず。


「私の幼稚園児の頃の夢は、玉の輿にのることよ。
初心を貫くことにしたの」


他の女子たちはみんな、ケーキ屋さんとかお花屋さんとか、可愛らしい夢をもっていた。

そのなかで一人だけ、玉の輿にのりたいと七夕の短冊に書いた幼稚園児は、この私。


若気のいたりで、愛なんてものも一瞬信じて、貧乏男とも付き合ってみたりもしたけど、断言しよう。

セレブに非ずは、男に非ず。
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