涙のYOKOHAMA
ホテルの部屋から、海と夜景を見下ろすと、まるで天空の城にいるみたい。

煌めく夜景を眺める私を、寿彦さんが後ろから優しく包み込む……。

いつも受け身の寿彦さんが、私を抱きしめてくれるやなんて。それだけで、天にも昇るくらいの幸せを感じる。

「明日、帰りに寄りたいところがあるんだけれど」

珍しく寿彦さんからの要望。なになに? もしかして、結婚式場の下見とか?

ドキドキしながら、ゆっくりと顔を向けて「どこ?」と聞いてみる。

「横浜スタジアム」

頰を緩めながら答えた、寿彦さん。

……結局、野球がいちばん好きやのね。でも、今日は、怒らない。

だって……こんなにも幸せな夜をくれたから……。

(おしまい)

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