涙のYOKOHAMA
毎月、二十五日が、私たちの付き合った記念日だった。クリスマス=私の誕生日が、付き合い始めた日。
男女関係なく、営業職の人間は、容赦無く転勤させる……という、会社の風潮のおかげで、私は寿彦さんと知り合った。
生まれ育った大阪を離れ、横浜支店に転勤となった私。
初めてのひとり暮らし。友だちもいない私を気遣い、横浜支店の事務員である同期が、彼氏の草野球チームの試合に誘ってくれた。
そのチームに、寿彦さんがいた。ショートでファインプレーを見せ、打撃でも大活躍だった彼に、私は一目惚れをしてしまったのだ。
長身だけれど、イケメンではない。無口で、謎めいた男だ。野球以外の取り柄はなさそうで、ひとり、部屋の隅っこで、マンガを読んでいそうな、そんな感じ。
それなのに、なぜか気になって。無表情なのにほんの少し、色気を感じて。
そんな寿彦さんをどうしても振り向かせたくて、一生懸命になった私。知り合って一年が過ぎた頃、私の思いは届いたのか、寿彦さんは黙って部屋の合鍵を、私に手渡した。
『付き合って』と言われたわけやない。私が勝手に合鍵を『愛鍵』だと思って、
誕生日=付き合い始めた日と、勝手に決めたのだ。
男女関係なく、営業職の人間は、容赦無く転勤させる……という、会社の風潮のおかげで、私は寿彦さんと知り合った。
生まれ育った大阪を離れ、横浜支店に転勤となった私。
初めてのひとり暮らし。友だちもいない私を気遣い、横浜支店の事務員である同期が、彼氏の草野球チームの試合に誘ってくれた。
そのチームに、寿彦さんがいた。ショートでファインプレーを見せ、打撃でも大活躍だった彼に、私は一目惚れをしてしまったのだ。
長身だけれど、イケメンではない。無口で、謎めいた男だ。野球以外の取り柄はなさそうで、ひとり、部屋の隅っこで、マンガを読んでいそうな、そんな感じ。
それなのに、なぜか気になって。無表情なのにほんの少し、色気を感じて。
そんな寿彦さんをどうしても振り向かせたくて、一生懸命になった私。知り合って一年が過ぎた頃、私の思いは届いたのか、寿彦さんは黙って部屋の合鍵を、私に手渡した。
『付き合って』と言われたわけやない。私が勝手に合鍵を『愛鍵』だと思って、
誕生日=付き合い始めた日と、勝手に決めたのだ。