拗らせDKの偏った溺愛



建物の外に停めてあったバイクにまたがると、金子先輩は後ろに乗るように言ってきた。


「どこ行くんすか?」


エンジンをかけようとする先輩に後ろから聞くと、


「まぁまぁ、楽しみにしとけって」


としか教えてくれなかった。

最初に到着したのは先輩の家だった。

意外なことに先輩はそこで2人分のヘルメットを調達してきた。

それもフルフェイスの。


「なんでいまさらヘルメット?すでに半ヘル被ってるじゃないっすか」


俺が笑いながら言うと、先輩はニヤッとして、


「バーカ。このヘルメットはツラがバレないように被るんだよ」


と返してきた。


「なんすか、銀行強盗は流石の俺も無理っすよ?」


フルフェイスのヘルメットを被りながら言うと、


「ハハッ!俺もまだ捕まりたくないからな。やるのは可愛くひったくりだ」


先輩から軽いノリで返事が返ってきた。


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