拗らせDKの偏った溺愛
「どうすっかなー」
掴んでいた美咲のおさげを指先でくるくると弄びながら考えるフリをする。
俺の机におでこをぶつける勢いで頭を下げていた美咲がそろそろと顔を上げて、俺に何を言われるのかと緊張の面持ちで見上げてきた。
そうそう、その表情が見たかったんだよ。
怯えたみたいな、縋るみたいな目で俺を見上げる美咲を見てどこかが満たされる感覚。
俺の退屈な毎日がなくなっていく予感にワクワクする。
「そうだなぁ…。美咲”ちゃん”は幻聴が聞こえたかと思うくらい、俺からの指令を心待ちにしてるみてーだし?昼飯以外にも仕事を与えてやろうか?」
再び嘘くさい笑顔を浮かべてわざとらしく聞いてやると、
「仕事!?お、お仕置きじゃないなら何なりとっ!!」
って即答しやがった。
コイツ…そんなにお仕置きが嫌かよ。
ってか、新しい仕事とお仕置きは別だっつーの。
バーカ
と、心の中で呟きながら、俺は美咲に新しい”仕事”を言い渡した。
「っていうのが新しい仕事な。それと、これからは俺が呼んだら返事は当たり前だけど、離れたとこにいてもダッシュで走ってこいよ?」
そう言うと
「はいっ!!」
と、真面目に返してくるから、思わず吹き出しそうになった。