拗らせDKの偏った溺愛
その後すぐに体育祭のことを決めることになった。
俺から新しい仕事を言い渡された美咲はお仕置きから逃れられたと思ったらしい。
委員長として前に呼ばれて、張り切って担任のところへ駆けてった。
担任はというと、相変わらずオドオドしながら
「それじゃ、今から体育祭のことでいくつか話し合ってもらいます。藤原さんに議長をお任せしますので、みなさん積極的に意見を出してあげてください」
とだけ言うと美咲にプリントを一枚渡した。
丸投げだな、おい。
委員長決めの時みたいになんなきゃいーけど。
担任は言うだけ言うと、教室の隅に椅子を置いてコソコソと座った。
当然、美咲は一人で教室の前に立つことになる。
…アイツ、また拳を握りしめてやがる。
大勢の前に立つのが苦手なのか?
それでも、今回はヤジが飛んだりするわけでもないので、俺は黙って見ていた。
「あ、の。それでは体育祭の役割決めと、各種目に出場する人を決めていきたいと思います」
美咲が若干震える声で、それでも精一杯声を出して話し始めた。
「まず、体育祭の実行委員をクラスから2名選出しなくてはいけないので、そちらから…」
「そんなの一人は藤原さんで決まりじゃない?」
美咲が話しているのを遮って女子が一人、声を上げた。