拗らせDKの偏った溺愛
「だよね〜。委員長が体育祭の実行委員をやるってのが、この学校の暗黙の決まりみたいなもんじゃない?」
続く別の女の声。
どうやら、委員長になった時点で体育祭と学園祭の実行委員に決まったも同然っていうのが、全校生徒の共通認識らしい。
毎回、こうやって実行委員を募っても誰もやりたがらないから、いつの間にかそうなったんだろうな。
「おいおい、そんなの藤原だってわかってるって。一応聞いてるだけだろ?」
「ってことで、女子の実行委員は藤原として、もう一人は…」
続いた男二人の言葉にクラスの視線が俺に向けられた。
「……」
無言でそれを睨み返す俺。
「だ、男子ばっか集まってジャンケンでもするか!?」
隣に座ってたやつが大慌てで言った。
「「「そ、そうだな!!」」」
そう言いながら、ガタガタと立ち上がってジャンケンを始める男ども。
もちろん俺も貴紀も不参加。
ほどなくして
「うわぁ〜〜〜!!負けちまった!!」
とかなんとか騒ぎ出したやつが一人。
どうやらもう一人の実行委員が決まったらしい。
「で、では、森本くんが男子の実行委員ということで、よろしくお願いします」
実行委員に決まった森本とかいうやつを見ながら、美咲がホッとしたような顔をしていたのがなんとなく気に食わなかった。