拗らせDKの偏った溺愛
さて、無事に実行委員が決まりました。
次は体育祭の各種目に出場する人を決めなくてはなりません。
先生から預かったプリントには、体育祭における注意事項と種目、種目ごとの出場人数等が書かれています。
それによると、まず、必ず1人1種目以上出場が条件となっています。
これは皆さん去年も経験済みですからさらっと説明してしまいましょう。
出場する種目決めですが、こちらは黒板に書き出して、それぞれ出場したい種目のところに名前を書いていていただく方式にするのがよさそうですね。
頭の中で簡単な段取りを決め、いざみなさんに説明を
……
……
……
マズイです。
手元のプリントから目線を上げた瞬間、クラスのみなさんがいつになくこちらを真剣に見ているのが視界に入ってきました。
それでなくても教室の前に1人で立つことで緊張しているのに、さらに緊張の波が押し寄せてきます…!
だ、ダメです、出だしでつまずくわけにはいきません。
なんとか声を出さなくては。
「で、ではっ!さっそくですが、た、体育祭の説明をします。そのあとでっ、か、各自の出場種目を決めます」
なんとかそこまで言ってから慌ててプリントに視線を戻して"体育祭の注意事項"を読みあげました。
やや声が震えてところどころ噛みましたが、なんとか読み終えました!
「でっでは、これから黒板に種目と出場人数を書き出しますので、みなさん希望のものに名前を書いてください。人数オーバーする種目は後でジャンケンします!」
や、やりました!!
最後だけは今日一番の声で言い切れました!
後で揉めないようにどうしても言っておきたかったので嬉しいです…。
教室の中がザワザワし始めたので何か言われる前に大急ぎで背を向けました。
これであとは黒板に必要なことさえ書き出してしまえば大丈夫なはずです!
まだまだ緊張でチョークを持つ手がちょっぴり震えていますが、先ほどまでよりはマシです。
なるべく早く書くことに集中です!