拗らせDKの偏った溺愛



「ねぇねぇ、せっかく来たんだから、ウチらの描いてるクラスの応援旗、見て!」


佐藤さんを始めとする旗の製作メンバーに背中を押されたり、左右の腕をそれぞれに引っ張られたりしながら、虎谷くんが女の子たちに教室の後ろへと連れて行かれました。


「じゃ〜ん!自分で言うのもなんだけど、スゴくない?」


佐藤さんが少し誇らしげです。


「うわぁ、すごいね。カッコイイ。これは佐藤さんのデザイン?」


虎谷くんが少し目を丸くしながら、佐藤さんの顔を見てらっしゃいます。

佐藤さんが満面の笑みを浮かべながら、


「そうだよ!リュウくんとトラくんからイメージもらったの!!」


と言うと、


「えっ、これ、僕たちのイメージ?」


ますます驚いた顔になられる虎谷くん。

すると、佐藤さん以外のみなさんが


「そうだよ!カッコイイでしょ!」


「他のクラスの子たちにもすごく人気なんだよ」


虎谷くんは、左右どころか周囲をぐるっと囲まれながら、みなさんが次々に話されているのを聞いているのですが、


「そうなんだ」

「わかるなぁ、これは見に来るよね」


と、一つ一つ丁寧にお返事をされています。

すごいです。聖徳太子のようです。


< 125 / 251 >

この作品をシェア

pagetop