拗らせDKの偏った溺愛
「ねぇねぇ、せっかく来たんだから、ウチらの描いてるクラスの応援旗、見て!」
佐藤さんを始めとする旗の製作メンバーに背中を押されたり、左右の腕をそれぞれに引っ張られたりしながら、虎谷くんが女の子たちに教室の後ろへと連れて行かれました。
「じゃ〜ん!自分で言うのもなんだけど、スゴくない?」
佐藤さんが少し誇らしげです。
「うわぁ、すごいね。カッコイイ。これは佐藤さんのデザイン?」
虎谷くんが少し目を丸くしながら、佐藤さんの顔を見てらっしゃいます。
佐藤さんが満面の笑みを浮かべながら、
「そうだよ!リュウくんとトラくんからイメージもらったの!!」
と言うと、
「えっ、これ、僕たちのイメージ?」
ますます驚いた顔になられる虎谷くん。
すると、佐藤さん以外のみなさんが
「そうだよ!カッコイイでしょ!」
「他のクラスの子たちにもすごく人気なんだよ」
虎谷くんは、左右どころか周囲をぐるっと囲まれながら、みなさんが次々に話されているのを聞いているのですが、
「そうなんだ」
「わかるなぁ、これは見に来るよね」
と、一つ一つ丁寧にお返事をされています。
すごいです。聖徳太子のようです。