拗らせDKの偏った溺愛
年は俺らとそんなに変わらなさそうだけど…
俺の周りにいる同年代の女に比べると化粧っ気もないし、髪型も服装もメガネまでもが地味だ。
肩からかけた鞄を大事そうに持っている。
それに心なしかニコニコしてるような気もする。
先輩もそれに気づいたのか、
「あいつ、結構大切そうに鞄持ってるよな」
「そうっすね」
テンションが上がってきてるらしい先輩に比べて、俺はどんどん気分が冷めていく。
「大金か、金になりそうなものを入れて歩いてんのかもしれねぇ。おい、竜也、ターゲットはあの女で決まりだ」
「マジっすか…」
俺はゲンナリしながらそう言うのが精一杯だった。
俺、うまく失敗できるのか?
自分でも訳のわからないことを考えながら、軽いノリで金子先輩についてきたことを後悔していた。