拗らせDKの偏った溺愛
私と一緒に高村くんのいろいろな雰囲気に圧倒されていた森本くんが、先にその呪縛から抜け出されたようです。
「じゃ、じゃあ!僕は実行委員の打ち合わせが終わったので。決して竜也さんのシモベを僕が使役していたわけではありませんので!!お先に失礼します!」
と、最後は逃げるようにして教室から出て行かれました。
一瞬その場が「シン」としましたが、
「はぁ〜」
と、最初に誰かのため息が聞こえてきました。
どうやら、ため息の主は虎谷くんのようです。
佐藤さんたちとこちらを見ていたようですが、そこから高村くんの方へと歩いて来られつつ、
「竜也さぁ、なんなの、その格好」
と、呆れ顔です。
迎える高村くんはといえば。
教室を転がるような勢いで出て行った森本くんの後ろ姿を見送っていた視線を、そのまま虎谷くんに向けつつ、
「あ?なにが?」
と。意にも介さないご様子です。
「なにが?じゃないよ、ホントに。シャツ。…全開だし。なんで?」
「しょーがねーだろ。1年の時に私服で校内に入ったら、体育教師のゴツい奴に見つかって面倒なことになったんだよ」
「だから?」
「だから!しょーがねーから、一応制服に着替えてきたんだっつーの!!」
「だいたい制服を着てきたのはいいけどさぁ…」
そう言いつつ高村くんの正面に立った虎谷くんが、はだけたシャツのボタンに手を伸ばした途端、佐藤さんたちから小さな悲鳴が上がりました。
「きゃー!」
「いやん、萌える…!」
確かに。眼福です(笑)
高村くんも嫌がらずに大人しく虎谷くんにされるがままですし、ほんとうに仲良しさんなんですね。