拗らせDKの偏った溺愛
そうこうしているうちに、女子のみなさんの残念そうな声と共に、高村くんのお姿も普段通りに戻りました。
といっても、シャツのボタンが留められただけで、なんとなく全体がだらしない雰囲気のままです。
いつもは頭のてっぺんから足の先まで完璧なイメージなのですが、どこが違うのでしょうか?
なんだかしっくりこなくて、高村くんの姿をしげしげと見つめていたのですが、
「竜也くんもクラスの応援旗、見ていってよ!」
という声ではっと我に返りました。
「そうだよ、竜也も見なよ。すごいから」
佐藤さん達の声に同意して、虎谷くんも高村くんを誘ってらっしゃいます。
声がかかって足を向けた高村くんが、一瞬止まってこちらを見たかと思うと
「美咲、お前も来い」
と一言。
「へ?」
きっと私が間抜けな顔をしていたのでしょう。
「だーかーらー」
と、手首を掴まれへて教室の後ろまで連れて行かれました。
その途中、よく見るといつもは雑誌のモデルさんのように整っている髪に、今日は寝癖?のようなものがついていることに気づきました。