拗らせDKの偏った溺愛



そうこうしているうちに、女子のみなさんの残念そうな声と共に、高村くんのお姿も普段通りに戻りました。

といっても、シャツのボタンが留められただけで、なんとなく全体がだらしない雰囲気のままです。

いつもは頭のてっぺんから足の先まで完璧なイメージなのですが、どこが違うのでしょうか?

なんだかしっくりこなくて、高村くんの姿をしげしげと見つめていたのですが、


「竜也くんもクラスの応援旗、見ていってよ!」


という声ではっと我に返りました。


「そうだよ、竜也も見なよ。すごいから」


佐藤さん達の声に同意して、虎谷くんも高村くんを誘ってらっしゃいます。

声がかかって足を向けた高村くんが、一瞬止まってこちらを見たかと思うと


「美咲、お前も来い」


と一言。


「へ?」


きっと私が間抜けな顔をしていたのでしょう。


「だーかーらー」


と、手首を掴まれへて教室の後ろまで連れて行かれました。

その途中、よく見るといつもは雑誌のモデルさんのように整っている髪に、今日は寝癖?のようなものがついていることに気づきました。


< 132 / 251 >

この作品をシェア

pagetop