拗らせDKの偏った溺愛
ここは体育祭実行委員の1人として、なにか良い案を出さなくては…!
確か、あの競技は出場人数が各クラス2人までとなっていたはずです。
私たちのクラスはいまのところ女子1名が出場予定ですが、男子は出場者が決まらないまま保留になっています。
「あ、あのっ」
高村くんに声をかけたのですが、その場にいた全員が一斉にこちらを振り向かれれたので少し驚いてしまいました。
で、でも、怯んでいる場合ではありません。
「あの、そのっ」
注目されていると思うと、う、うまく言葉が出てきません〜!
「なんだよ、聞いてやるからゆっくり話せ」
焦る私に呆れたような顔をしながらも、そう言ってくれたのは他ならぬ高村くんでした。
ゆっくり…、ゆっくりでいいんですよね。
そう、焦らずに。
だって、ただ競技名を言えばいいだけです。
ちょっとだけ息を深く吸い込めば、自然とそう考えることができました。
みなさんの視線が集中していることの緊張感はありますが、先ほどのような怖さに近いものはなくなりました。
「あ、あの、しょ、障害物競走なら、今からでも出られますよ!」
言えました!
高村くんのおかげでうまく気持ちを落ち着けて、きちんと言いたいことが言えました!!