拗らせDKの偏った溺愛


女子バージョンが女子に人気な理由は、ドジっ子的なかわいさがアピールができることだそうです。

そして、女子のその強かな企みに気づかない男子には、女の子の普段にない可愛い姿が見られる!ということで人気の競技であるとかないとか・・・。

確かそんな風に綾乃ちゃんから聞いたように記憶しています。

そんな風に障害物競走のあれこれについて思い出している間にも、佐藤さんたちの詳細は省きつつ、的確なポイントを押さえた説明が続いています。


「そうそう、トライアスロンっていうか鉄人レース?1個1個確実にクリアしていかなくちゃだめみたいだよ?」


「いい加減にやって手抜きしちゃうと反則とられちゃうらしいよ。ね?委員長?」


「あ、は、はいっ!丁寧に課題をクリアする必要がありまして・・・。普段の鍛錬と競技中の努力の結果が順位に表れるという意味では、純粋な陸上競技の1つです」


「ってことはお笑い的な要因はないんだ?」


虎谷くんが、やや残念そうに聞いてこられました。


「ないない!!」


佐藤さんが勢い良く否定されます。


「ガチの陸上競技だよね~」


高橋さんがウンウンと首を縦に振り、


「身体能力に自信がある人しか出ないよね~」


と東雲さんが同意されたのを見て、高村君がボソッと一言。


「ふ~ん、だったら出てもいいかな」


と。

それを聞き逃すような佐藤さん、高橋さん、東雲さんではありません。


「「「やった~~~!!!」」」


大喜びで3人で手を取り合ってらっしゃいます。


「じゃあ決まりだね。美咲ちゃん、悪いけど参加手続きお願いしていい?」


虎谷くんにきらめく笑顔でお願いされては、私も


「はい!!」


という返事しかでません。

そういうわけで、高村君の障害物競走への出場が決まったのでした。


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