拗らせDKの偏った溺愛



あのあとは実行委員会へ高村君の出場を報告に行き・・・実行委員長が息をのんで驚いていましたが。


「えっ!?高村竜也って、あの高村くんだよね?競技に出るって???」


とても動揺されていたので、思わずきちんと手続きが完了するか不安になったくらいでした。

目の前で障害物競技の出場者リストに高村くんの名前が確かに記入されたのを見届けて、教室に戻った私を待ち受けていたのは・・・教室いっぱいに群がる生徒の姿でした。

おそらく高村くんと虎谷くんの”竜虎コンビ”が久しぶりに学校へいらっしゃったからでしょう。

見れば、グラウンドで練習していたはずの綾乃ちゃんもちゃっかりいます。

綾乃ちゃんをはじめ、みなさんが盛り上がっていらっしゃるのは重々承知ですが・・・。

下校時刻が迫っているので、実行委員として、また、教室の使用許可をもらっている責任者として、そろそろ全員に下校してもらうよう言わなくてはなりません。


「ちょ、ちょっとすみません・・・」


教室の後ろから入り、なんとか人をかき分けて、教室の後ろで作業する佐藤さんたちのところにたどり着きました。

どうやら高村くんと虎谷くんは教室の前へ移動されているようです。

おかげで佐藤さんたちの作業空間はなんとか確保されています。

でも、もともと机や椅子がひしめき合っていた教室の前方は、さらに人もひしめき合ってぎゅうぎゅうなんてものではありません。

とりあえず佐藤さんたちに、作業終了をお願いしました。

あとは、この大勢の人たちに教室から出てもらって、おまけに下校してもらわなくてはなりません。

教室は出たけど廊下でたむろする、なんてことになっては困るのです。

シンプルに、でも的確に言葉で伝えるべく頭の中でしばらくセリフを考えて・・・いざ!!

< 141 / 251 >

この作品をシェア

pagetop