拗らせDKの偏った溺愛
〈竜也〉
あれ以来、なんとなく学校に足が向かず、家で毎日ダラダラしていた。
ただ、その日は、普段からなにかと俺と一緒にいたがる貴紀が、めずらしく俺の家に顔を出さなかった。
暇だし、朝からwebでちょっとしたおこずかい稼ぎをしていたが、それも午後には終わってしまい、また暇を持て余し始めた時だった。
貴紀からメッセージが届いた。
「あいつが俺にメッセージを送ってくるなんてめずらしいな」
なにかあれば電話がかかってくるほうが圧倒的に多い貴紀からのメッセージに、つい独り言を漏らしつつアプリを起動した。
最初に飛び込んできたのは
”なんだか、ものすごく親密な感じかも?”
という文字。
そして、その下に現れたのは1組の男女が、教室の机一つをはさんで座り、顔を寄せ合っている写真だった。
「?」
この写真がなんだってんだ?
訳が分からず、なにかほかの情報がこの写真に隠されているのかもしれない、と写真をズームで見てみることにした。
それでわかったこと。
写真が男子生徒の斜め後ろから撮られていて、それに向き合うように座っている女子生徒は、ほぼ正面から顔が写っているということ。
その女子生徒は至近距離にある男子生徒の顔を見つめて、わずかに微笑んでいること。
そして、その女子生徒が美咲だっていうことだ。