拗らせDKの偏った溺愛
「だー!お前は俺のオカンか!?女じゃあるまいし。男だったら上半身裸でも別に問題ないだろ!ちょっと服のボタン留めてないくらいがなんだってんだよ⁉︎」
黙っているはずが、ついイライラして悪態をついてしまった。
でも、俺の精一杯の抵抗を、貴紀は知らん顔でスルーした。
しょうがないから、やっぱり貴紀がいいって言うまで大人しくしていようと思い、じっとしていたら、
「竜也くんもクラスの応援旗、見ていってよ!」
と1人の女が近づいてきた。
めんどくせぇなぁと思っていると、
「そうだよ、竜也も見なよ。すごいから」
と、貴紀まで勧めてくる。
応援旗?よくわかんねぇけど、そんなに言うなら・・・と腕をひかれるままに歩き出そうとして、思い出した。
そうだ、美咲を回収しに来たんだった。
美咲を見ると、ボケっと俺を見ている。
「美咲、お前も来い」
俺は”はいっ”という返事を期待したんだが、
美咲からは
「へ?」
と間抜けな返事が。
こいつはほんとうにトロくさいな。
絶対に俺が言ったことの意味が伝わっていない顔だ。
「だーかーらー」
美咲のトロくさい脳ミソが俺の言葉の意味を理解するまで待てなかった。
女につかまれていた腕を解くと、いまだにボケっとしてる美咲のところまで行って、腕をつかんだ。
軽く引っ張ると素直についてきたので、腕をつかんだまま、貴紀のあとについて教室の後ろまで2人で移動した。