拗らせDKの偏った溺愛
「す、すみません!」
私はまたなにかしでかしてしまったのでしょうか!?
咄嗟に、なぜか謝ってしまうことに多少の違和感を覚えますが、目の前の高村くんは確実に怒りの形相ですから、他にセリフが出てきません。
ただ、"どれだけ俺を待たせるんだ"というセリフには違和感があります。
えーと、私、高村くんと待ち合わせをした覚えはないのですが…。
ほかになにか約束していた記憶もありませんし。
あ、もしかしたら先程決まった障害物競走の出場手続きが終わるのを待っていらしたとか?
頭の中をいろんなことが巡って、そこまでたどり着いた私は、
「ご安心ください!無事に障害物競走出場手続き完了です!」
と報告しました。
これで高村くんの怒りもおさまると思いきや、
「そんなこと、どーでもいいっつーんだよ!」
予想に反して怒り倍増です!!なぜ!?
「お前は今から俺の言いつけを実行するんだよ。優しい俺様がわざわざ迎えに来てやったんだ、さっさと帰るぞ!」
え?え?どういうことでしょう???
混乱する私をよそに、高村くんは私の腕を掴んで、そのまま教室から出ようとされています。
「ちょ、ちょっ、ちょっとお待ちください!」
なんとか足を踏ん張って、教室から連れ出されようとしたのを止めることに成功しました。