拗らせDKの偏った溺愛
成功したのですが、ゆったりと振り返った高村くんからは再び怒りというより殺気!?のようなものが!!
「お前〜、なに逆らおうとしてんだよ?」
ひぃ〜〜〜!!!
で、でも、ここでこのまま帰るわけにはいきません。
私には実行委員として、クラス委員としての大事な仕事が残っているのです。
「あ、あの、そ、その、ですね‥」
慌てると余計に言葉が出てきません!
早く説明をしなくてはいけないのに…!!
「はぁ〜〜〜、わかったわかった。聞いてやるから落ち着いてから話せ」
「はへ?」
何がなんだかわかりませんが、どうやら高村くんのお怒りが少しおさまったようです。
助かりました!!!
まずは深呼吸をして…。
「で?なんだ?」
タイミングよく深呼吸を終えた私に声をかけてくださった高村くんは、眼光こそ鋭いものの、怒っていないようで安心しました。
「あ、あのですね、私の立場としましては、みなさんより先に下校することはできなくて、ですね…」
説明を始めてすぐに、とても不思議そうに聞かれました。
「なんでだよ?誰がいつ帰ろうが自由だろ?」
確かに普段はそうなのですが、体育祭の準備期間だけは違うのです。
それを説明した上で、付け加えて現在の私の仕事をお伝えすべく、
「各クラスの実行委員は教室に残っているみなさんに時間までに帰宅していただくよう促す必要があります。あと、クラス委員としては教室の施錠をするという仕事がありまして…」
「ふーん、お前そんなこと、準備期間中は毎日やってんの?」
「あ、はい」
感心したようにそう言われると、ちょっと拍子抜けです。が、ここは高村くんの怒りが完全に消えたことを喜ぶべきかもしれません。