拗らせDKの偏った溺愛
「ひゃっ!!」
体が後ろに引っ張られる感覚に恐怖して、思わず高村くんの体に回された手に力を入れてしまいました。
自然とその背中にしがみつくようになってしまいましたが、そんなことを気にしている余裕はありませんでした。
「ひゃぁ〜〜〜」
どれだけ余裕がなかったかと言いますと。
後ほどわかったことなのですが、学校から高村くんの家まではバイクでほんの5分ほどの距離だというのに、何十分もかかったように感じたくらいです。
おまけに、想像以上のスピードで走り始めたバイクだけでも驚いたというのに、曲がるたびに自分の体が車体とともに傾く恐怖で、目的地に着くまでのあいだずっと、ぎゅうぎゅうと高村くんにしがみついていたなんて気づきもしませんでした。
もし、もう少し余裕を持って乗ることができていたら、最初のカーブで最初よりももっと必死にしがみついたことで、高村くんの顔が赤くなったことに気づけたかもしれませんが。