拗らせDKの偏った溺愛



そして、高村くんに言われて汚部屋を片付けること約2時間。

なんとかテーブルや床から物がなくなって、拭き掃除も一通り終わりました!!


「ふぅ」


スッキリしたリビングの床を見て、達成感でいっぱいです。

でも、流石に時計を見てちょっとマズいな、と思いました。

高村くんのご家族は、まだどなたも帰ってこられる様子がありません。

ですが、我が家では、そろそろ仕事を終えた父が帰ってくる時間です。

実のところ、家にはまだなんの連絡もしていません。

意を決して、


「あの、時間も時間ですので、私はこれで…」


と恐る恐る高村くんに声をかけました。

すると、案外あっさりと


「ん、お疲れ〜」


と、スマホの画面を眺めたまま言われてホッとしました。


「で、では」


自分のカバンを持って、そそくさと玄関へと向かいます。

玄関で靴を履いていると、後ろからこられた高村くんが


「んじゃ、明日もこいよ」


と言いながら私の手に鍵を載せました。


「これは?」

「ここの鍵。いちいち開けんの面倒だから勝手に入ってこい」

「わ、わかりました」


言葉とは裏腹に全然理解できません。

なぜ家の鍵をポンと赤の他人の私などに預けてしまえるのでしょう?

ご家族の方は大丈夫なのでしょうか?

でも、ここで疑問を口にしても”黙って従え”というようなお返事しか返ってこない気がします。

ここは言われた通り、明日も放課後に掃除と片付けに来ることにしましょう!


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