拗らせDKの偏った溺愛



バイクを降りて家の玄関に着く頃には、ちょっと冷静になっていた。

美咲をリビングに案内すると、新しい仕事として掃除と片付けを言いつけた。

自分でも相当汚いと思うリビングを、美咲は文句ひとつ言わずに片付け始めた。

家についてから美咲が言ったことといえば

”ゴミ袋と掃除道具はどこにあるか”

とか、

”これは捨ててもいいのか”

とか。

要は作業に関わることだけ。

あとは黙々と掃除をしていた。

俺はスマホを見ているふりをしながら、なんとなく美咲の姿を目で追っていた。

前にも思ったけど、なんでコイツは、ただの同級生に半ば言いがかり的に言われたことを間に受けて、素直に従ってるんだ?

大丈夫かよ…。

もしかすると、そんなんだから、さっき教室で一緒だったあの男にも、危うくいいようにされそうになってたとか?


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