拗らせDKの偏った溺愛
びっくりして足が止まってしまい、耳だけが音のした建物の方へ。
物音の後、少しの静けさが漂ったので、無理矢理にでも先程の物音を気のせいということにして立ち去ろうとしたのですが…
「オラァ!!」
「やっちまえ!」
というような怒号と、再び激しくぶつかる音が…。
なにかはわかりませんが、よくないことが起こっているのは確かなようです。
こんな時に限ってスマホを学校に置いてきてしまいました。
かといって、このまま立ち去るのも…
心の中で
「やめておきなさい」
という声と
「ちょっとだけ。何が起こっているか確認するだけだから」
という声が戦っていましたが、いつの間にか足が勝手に物音のした建物の扉の方へと進んでいます。
その間も、近づくにつれ物音がはっきりと聞こえるようになりつつあります。
「ガシャーン」
「ドンッ」
「ガッ」
はっきりと聞こえるようになってわかったのは、物音が2種類あるということ。
1つはモノとモノがぶつかる様な金属音に近い音。
もう1つは誰かが殴られるような肉体と肉体が激しくぶつかる様な音。
2つ目の音は、道場で、それも有段者同士が組手の稽古をするときや試合の時にしか聞いたことがない音です。
物音の数からすると複数の人間が乱闘?のようなものをしているとしか思えません。