拗らせDKの偏った溺愛



「まぁ、そんなに時間はかからないと思うよ。それよりも、あんたがバカ坊ちゃんに見つかると返って面倒なことになるかもだし、俺の影に隠れてるくらいがちょうどいいかもね」


ご自分で私をここまで連れてきたというのに、ものすごく他人事のように言うと再びタバコの煙を悠々と吐き出す男性。

おそらく、私がどうなるかなんて本当にどうでもよく、ただ、バカ坊ちゃんとやらのお守りが面倒で仕方がないだけなのでしょう。

でも、そんな非道とも言える男性は今は大事ではありません。

それよりも私は竜也くんの動きに目が釘付けになっていました。

私が窓から覗いた時より、明らかに減っている人数。

おそらく竜也くんによって、完全にノックアウトされてしまったに違いありません。

それは、今目の前で繰り広げられている戦いを見れば納得の結果です。

竜也くんは、ただ殴ったり蹴ったりがすごいだけではないようです。

的確に周囲の状況を判断して、ともすれば障害物となりそうな古びた機械やケーブルをうまく使って相手の武器をいなしています。

おまけに位置どりや足場の使い方もうまくて、数人を相手にする不利な状況を少しでも回避できるよう動いているようです。

そして、その隙を縫って繰り出される攻撃は、かなり的確に急所をついています。

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