拗らせDKの偏った溺愛
「だから言わんこっちゃない。あのクソガキの相手は、そこらへんのチンピラ引き連れてくるだけじゃダメだっての」
「そ、そんなにあの方はお強いんですか!?」
一応、竜也くんを知らないふりをして尋ねると
「そうなんだよねぇ。あんまりにも喧嘩が強くって、東のリュウとかいう通り名まであるくらいだなんだよ。それなのに…」
コソコソと話していたのですが、
「コラァ、裕司!!お前、そこで何してるんだ!この僕がピンチなんだぞ!助けろよ!!」
竜也くんと一対一で向かい合って奇声を発していたおぼっちゃまが、こちらを向いてしまいました。
「はぁ〜〜〜、とうとう矛先がこっちにきちゃったよ。悪いけど、お嬢ちゃん、ここで静かにしててね」
裕司さんというお名前らしい男性は、持っていたタバコを足で踏みつけて消しながら言うと、1人でおぼっちゃまのところへ向かおうとしました。
でも、裕司さんが移動してしまったことで、この場に似つかわしくないジャージ姿の女子高校生がいることがバレてしまいました。
「ん?なんだあの女は?」
裕司さんの後ろにいた私を見つけたおぼっちゃまが不思議そうに裕司さんに尋ねています。
「運悪くこの騒ぎに気づいちまった近所の女子高生みたいですよ。下手に騒がれると若の計画が頓挫しかねないと判断しただけです。まぁ、これが終われば解放しますから、お気になさらず」