拗らせDKの偏った溺愛
「クソッ!」
竜也くんが悔しそうに言葉を吐き捨てました。
びっくりして、思わず竜也くんを凝視していた私とおぼっちゃまでしたが、竜也くんの動きが止まったのを見て、おぼっちゃまが再びいやらしい笑みを浮かべました。
「へぇ、彼女じゃないけど、助けようとするくらいの間柄ではあるわけだ」
ニヤニヤしながら、竜也くんへと向けかけた足を、私の方へと戻してきています。
「そいつは関係ないだろ!お前が痛めつけたい相手は俺なんだろ!だったらそいつにちょっかいかけてないで、俺に向かって来いよ!」
竜也くんがおぼっちゃまを睨みます。
「そうはいうけどさぁ、お前、生意気に反撃してくるだろ。僕はお前が痛めつけられるところを見たいわけなんだし、黙って僕にボッコボコにされるって言うなら、この子を先に開放してやらなくもない」
ニヤニヤ顔がさらに歪んで醜くなったおぼっちゃまの口から出る言葉は、顔に負けず劣らずの醜い内容です。
「…わかった」
それなのに、竜也くんはそう言うと、その場にドカッと座り込んでしまわれたのです。
「お前の好きにすればいいだろ。その代わり、そいつは今すぐ解放しろ」
「なっ!」
なんと言うことをおっしゃるのでしょうか!?
そんなことを言ったら、このおぼっちゃまは、無抵抗の竜也くんを遠慮なく痛めつけるに違いありません。
「だ、だめです!!そんなこと!」
思わず叫んでしまいました。