拗らせDKの偏った溺愛
今度こそ体育祭
体育祭にたどり着くまで
〈竜也〉
体育祭当日の朝、美咲はいつもより早めに来て、早めに出て行った。
なんでも、開会式までにやらなきゃならない実行委員の仕事が山ほどあるらしい。
実行委員の仕事なんて、なんのメリットも見返りもないのに、毎日毎日よくやるな・・・。
内心呆れるものの、この1週間、朝も夜も俺の家に来るようになったことで、図らずも美咲がどんな毎日を過ごしているかを知ることになった俺。
何事に対しても一生懸命な姿は、目の前のこと1つ1つに誠実に向き合っているのがわかって、見ていて清々しさのようなものを感じる。
そのくせ、ダラダラ過ごしている俺を責めるでもなく・・・。
そんな美咲が、今朝はめずらしく強い口調で
「今日は体育祭ですから、絶対に遅刻しないでくださいね‼」
繰り返し言うものだから、
「わーかった、わかったって。そんな何回も言わなくても、ちゃんと行くっつーの」
と返した。
美咲が出ていくのを玄関で見送ると、俺はそのままシャワーを浴びて学校に行く用意を始めた。