拗らせDKの偏った溺愛
ジャージを着終わったところで、貴紀から電話がかかってきた。
開口一番
「竜也、ちゃんと起きてる?」
と言われて
「起きてるっつーの」
と返したら
「めずらしい‼」
と言われた。
美咲が俺と学校へ行くのを頑なに拒否するから、いつも美咲が俺の家を出た後は多少の時間を持て余すことになる。
それもあって、貴紀が迎えに来るまでや、迎えに着た後でも平気で二度寝することが多々あるからな。
「しょうがないだろ。今朝は美咲がしつこく”二度寝するな”とか”時間に遅れるな”ってうるさかったんだよ」
俺がその時の美咲を思い出して、ちょっとうんざりしていると
「美咲ちゃん効果ってすごいね!」
とかなんとか。
何がうれしいのか、弾んだ声で貴紀が言ってたな。
「僕も今日は早めに学校に行かないとだめな用ができちゃってさ。竜也のことを家まで迎えに行けなくて心配だったんだけど・・・」
「ガキじゃあるまいし。お前の迎えなんかなくても学校ぐらい行けるっつーの!」
そんなやり取りをした電話を切った後、わりとすぐに家を出た。
いつも通りぶらぶらと学校までの抜け道を歩いていた時だった。