拗らせDKの偏った溺愛
俺としては、廃工場に入ったらさっさと喧嘩を始めて、さっさと終わらせるつもりだった。
そういえば、思い出した。
この太っちょは以前にもこんな風に絡んできて、あっさり返り討ちにした覚えがある。
前回は引き連れてきたのが5人ほどだったのに対して、今日は10人ほどに増えてはいるが・・・。
まぁ、それでもうまくやれば30分もかからないはず。
そんな風に判断して始まった喧嘩は、基本、俺の思惑通りだった。
数的に一人で相手をするには面倒だったけど、かといって連携が取れている多勢なわけではなかったから、廃工場のアレコレを利用すればなんとかさばけた。
順調に相手を倒していって、最後に太っちょだけになった時、最悪なできごとが起きた。
いつの間にか、あの男のそばに美咲がいた。
今のところ何かされたわけではなさそうだけど、俺とつながりがあるから連れてこられたのか、たまたまなのか・・・。
とにかくここに美咲がいる理由がわからない。
軽いめまいのようなものを覚えながら、俺は目の前の太っちょと向き合った。